多くの介護施設でレクリエーションを導入しているため、「レクリエーションは義務」と思われている人もいることでしょう。介護法では「加齢に伴い心身の変化に起因する疾病などで要介護状態となった介護者に対し、その有する能力に応じ自立した生活を営むことができるよう必要な保健医療サービスおよび福祉サービスを提供する」とされていますが、「介護施設では必ずレクリエーションを行う」とは書かれていないのです。
しかし、数十年前から多くの施設で実施されていることもあり、「レクリエーションを行うのは当然」と考える人が多いようです。
そもそも、レクリエーションは義務ではありません。しかし、生活の質を向上させるためには必要不可欠なものであり、多くの施設で導入されています。「レクリエーションを実施しなければならない」という雰囲気が数十年前からあったため、「やらなければならない」[盛り上げなければならない」という雰囲気に支配され、実施する目的よりも「どのような内容か」ということに重点がすり替わっている施設も少なくありません。その結果、準備に時間を取られたり、頭を悩ませたりといったことが増え、不得意な職員には負担となっています。
当たり前のように行われているレクリエーションですが、義務ではありません。時間をかけたからといって必ずしもよいレクリエーションが提供できるわけではないのです。むしろ、職員が嫌々準備したレクリエーションには誰も参加したがらないでしょう。そのような雰囲気では参加しても楽しくないからです。参加者だけでなく企画・実施する職員も一緒に楽しむことができなければレクリエーションを行う意味はありません。
レクリエーションはQOLの向上に有効ですが、参加したくないという高齢者もいます。無理に参加させても嫌悪感が増すだけで、いいことはありません。このような場合に大切なのは、参加する動機や意義を見つけることです。
例えば、風船をバレーボールに見立て、地面に落ちないように腕や手で打ち上げる「風船バレー」は身体機能の維持・向上や脳の活性化に役立つレクリエーションで人気があり、多くの施設で行われています。大半の人が楽しみながら参加していますが、「内容が幼稚すぎる」「くだらない」という理由で参加に消極的な人もいます。参加を拒否する人がいる場合は、演出を変えてみましょう。競争ゲームにしたり、お年寄りに子どもを混ぜてみたりといつもとは違う趣向にすることで「勝ちたい」「子どもに喜んでもらいたい」というモチベーションが生まれ、参加することに意義を見出せるようになります。